Webデザイナーの仕事として「ユーザーファースト」の視点で、ユーザーが探している、ユーザーの問題を解決するWebサイトを作ることが求められています。
以前のWebデザイナーは、Webサイトの提供側がアピールしたいコンテンツを作っていました。
ユーザーが満足するWebサイトはリピーターも増え、結果としてクライアントの求める成果につながります。
ユーザーファーストを考慮したWebサイト制作と、Webデザイナーの仕事のポイントについてご紹介します。
目次
ユーザーファーストとは
今重要視されているのは「ユーザーファースト」というユーザー第一主義。
ユーザーファーストの本質は「ユーザの声を全て聞く」ということではなく、ユーザー視点で仮説や検証を行い、ユーザーが求めるコンテンツを提供し、使いづらさやわかりにくい点を徹底的に排除して、利用してもらえるWebサイトを作ることにあります。
顧客満足度(CS)という言葉があります。
製品やサービスに対しての顧客が感じる何らかの満足感を示す指標のことです。
企業は顧客満足度向上のために日々調査と努力をしています。
ユーザーファーストも顧客満足度と同様で、ユーザーの快適さを高めて便利に使えるWebサイトを提供するという考え方です。
WebデザイナーはPhotoshop・HTML・CSSはできて当たり前
Webデザイナーの必須スキルとして挙げられる「Photoshop」「HTML」「CSS」
今は、Webデザイナーにとってできて当たり前のことになっていて、特別にアピールできるスキルではなくなっています。
- タクシードライバーが自動車を運転できる
- 料理人が包丁を使える
- 野菜農家が土に詳しい
極端な例を挙げましたが、「Photoshop」「HTML」「CSS」はWebサイトを作るときに必要な「道具」のようなものです。
大切なのは「Photoshop」「HTML」「CSS」を使えることではなく、これらを使いこなして成果の出るWebデザインを作るということです。
昔と今のWebデザイナーの仕事の違い
Webデザインはユーザーファーストの時代
クライアントファーストからユーザーファーストへと変わってきました。
昔「クライアントがWebサイトでアピールしたいものは何だろう」
今「ユーザーが探しているものは何だろう」
昔「クライアントのご要望を全力で実現する」
今「ユーザーの問題を解決するWebサイトに」
昔「SEO対策のためにキーワードを入れる」
今「ユーザーが検索するワードは何だろう」
Webサイト制作の昔と今
Webサイトを見る環境もデバイスも、Webサイトの作り方もかなり変わりました。
昔「PCサイトがメイン。スマホサイトも用意」
今「スマホで快適に見られるWebサイト」
昔「企画構成の段階で内容を詰めてから制作」
今「プロトタイプをどんどん作ってブラッシュアップ」
昔「見たことないレイアウトや独自の凝ったデザイン」
今「メンテナンス性や効率を考慮した構成」
昔「カテゴリやコンテンツ別の細かいページ変遷」
今「縦長のWebサイトにたくさんのコンテンツ」
今「必要な情報に最短でたどり着く」
今「回遊率を上げる関連項目やコンテンツへのリンク」
Webデザイナーが考えるべきWebデザイン
Webサイトの見た目の綺麗さやカッコよさも大切ですが、Webデザイナーの仕事としてユーザーファーストの視点が求められます。
- わかりやすい
- 迷わない
- 最短で情報にたどり着ける
- 簡単に操作できる
- ユーザーが検索して探しているコンテンツを提供
- また訪問したくなる体験の提供
- ユーザーをコンバージョンに導く
- 検索エンジンにわかりやすい構造
- 作りっぱなしではなくユーザーニーズの変化に応じた改善
ユーザーの要求水準が高くなっている
インターネットやスマホが普及してしばらく経ちました。
情報があふれているため、ユーザーは賢くインターネットを利用しています。
- ユーザーが情報を選ぶ時代
- 高機能でスルスル動くデバイスやブラウザの普及
- 専門的で情報が充実しているWebサイトの普及
- 無料で使える高機能Webサービスやアプリの普及
- いつでもどこにいてもWebサイトを見られる
ユーザーはiPhoneに代表される最高水準のUIにも慣れています。
インターネット環境さえあればあらゆる情報を瞬時に調べることができます。(信憑性が疑われる情報もありますが…)
無料で利用できるサービスも数多くあり、高機能なサービスが広く普及しています。
- 類似商品のスペックや価格の比較
- 会社や商品の口コミや評判を調べる
- SNSで話題になる情報の新しさと拡散力
- SNSやブログのユーザーの発信力
上記のことが誰でも簡単にできる時代です。
AとBを比較してAが優れていればBは見向きもされないこともあります。
悪い評判が広まるスピードも速く、あっという間に情報共有(拡散)されます。
ハイクオリティなWebサービスに慣れているユーザーに快適に利用してもらうため、Webデザイナーは「ユーザーファースト」の視点でWebサイトを制作することが必要です。
ユーザーの要求水準が高くなっていることは、昨年開催されたDesignship 2018で登壇するみなさんが口にされていました。
ユーザーが満足するコンテンツや商品・サービスを提供することが、Webデザイナーだけではなくあらゆるデザイン業界で必要とされています。
クライアントに満足してもらう提案力
Webデザイナーにとって提案力も必要なスキルです。
クライアントの要望を否定してダイレクトに「それはクライアントの都合であってユーザーファーストではないのでやめましょう」などと言ってしまったら、クライアントの心象を悪くしてしまいます。
時間をかけて用意した原稿が変更されるのを嫌うクライアントもいます。
コンテンツの順番、見出しの文言、本文のワードなど、ユーザーが見たいコンテンツやSEO対策の観点から改善したい場合があります。
変更を提案する時のコツは、
- クライアントの要望を否定しない
- クライアントの解決したいことや目標を明確にする
- ユーザーの行動の仮説を立てる
- 売上や成果につながるクライアントのメリットを伝える
- 数字や事例を挙げる
- 相手にわかりやすい言葉で伝える
- 最後に「いかがでしょうか」と判断を仰ぐ
私の場合、信頼関係があって任せていただけるクライアントの場合、改善したプロトタイプのWebサイトを作ってからメリットやSEO効果などについて説明することがあります。
言葉だけで説明するよりも、プロトタイプのWebサイトを実際に触っていただいた方がわかりやすい場合もあります。
おわりに
Webデザイナーの仕事はアートではなくデザイン設計です。
ユーザーが探しているWebサイトを作り、ニーズに合わせて改善していきます。
「Photoshop」「HTML」「CSS」ができることだけがWebデザイナーの仕事ではなく、ユーザーファーストの視点で成果が出るWebサイトをデザインしていきましょう。